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白銀の女神[リヴァイ・エルヴィン]

第35章 ●余裕●




「さ、そろそろ戻らないと」


私がそう言って立ち上がろうとすると、兵長にぐいと腕を引っ張られ私の身体は兵長の腕の中にすっぽりと収まった。
兵長に後ろから抱き締められるような形になった。


「兵長?」


「なぁ、お前は自分が明日も生きてると思うか?」


耳元で兵長が囁く。
それだけでドキドキと胸が高鳴った。

だが兵長の質問は、兵士…特に調査兵には答えられない質問だった。明日の身の保証は無い。



「俺は隣にいるやつが明日もいると思っていない。
俺自身も含めてだ。だから今出来ることを全力でやらないと気が済まねえ」



兵長はそう言うと、私の首筋に唇を沿わせた。


「やっ…、兵長…?こんなとこで…」


「こんなとこだからだ。部屋だとあいつらに聞こえちまうだろうが」



そう兵長が言った瞬間、私の顔は火を噴いた。
今朝のエレンとの会話を思い出したのだった。
だが、この森だって早く戻らなかったらそれこそあの子達が呼び戻しに来かねない。



「…ですが、兵長っ。早く戻らないと心配してエレン達が来るかもしれませんっ…」



私を自分の方に向き直させ、首筋を柔らかく吸い、鎖骨に唇を沿わす兵長に進言する。

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