第32章 ●欲望●
その後、私は元のハンジ班に戻ることとなった。
私はエレンとクリスタ…本名ヒストリアを匿う為の小屋にいた。
そこにいる新しいリヴァイ班は、104期で構成されていた。エレンをもっと死に物狂いにさせる為だとリヴァイ兵長は言った。
元々ハンジ班と行動を別にしていた私は、104期とリヴァイ兵長とこの小屋でハンジ班と合流するまで過ごすこととなった。
「エマさん!エマさんの部屋なんですけど、兵長と一緒でいいですよね!?」
エレンが屈託の無い笑顔で私に聞いてきた。
「え?私は女子部屋で過ごすつもりだったんだけど…」
「あいつらはそれが良いって言ってたんですけど、それじゃエマさんが気を遣うだろうって俺が説得しました!
元々リヴァイ班で一緒だった者同士の方がいいですよね!」
エレンの悪気の無さに返答に困っていると、
「エレン…エマさんも困ってるよ…。
兵長と一緒だなんて…。やっぱり女子部屋の方が…」
力強いエレンと対照的にアルミンが困ったように私達の間に入った。
兵長と一緒…
確かにここは部屋数も広さも無いし…
私が気を遣うというより、年上の私が一緒だと彼女達に気を遣わせてしまうのかもしれない…
「あの…エマさん…」
ミカサが申し訳なさそうに近づいてきた。
「…女子部屋にベッドが3つしか入らなくて…その…」
言いにくそうに物理的な問題を私に投げかけた。
これはもう腹を括るしか無い。
大体壁外調査に行けば男女混じっての雑魚寝もしたことが無いわけじゃない。
問題は兵長が相手というだけだ。
「わかった、それなら仕方ない。
兵長は嫌がるかもだけど、私と兵長で一部屋使わせてもらうね。それよりミカサ、ベッドを運んだりしてないよね?私がやるから休んでいなさい」
こうして私は図らずも兵長と二人きりになることになったのだった。
夕食を済ませ、それぞれが部屋へと戻った。私と兵長も部屋へと戻った。