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白銀の女神[リヴァイ・エルヴィン]

第31章 夢と贖罪


「この話は訓練兵の時までは周りに良くしていたんだが、調査兵団に入ってからは一切しなくなった。
…皆、人類の為に戦っていたのに…、
俺一人だけが自分の夢を見ていたんだ…」


「…団長。
私には、お父様との夢、でもあり、
お父様への贖罪のようにも聞こえます」



団長はハッとした表情で、私の方を向いた。


「エマ、俺は君を愛している。
こうして君は俺の本心を見つめようとしてくれる。
だが、俺には父との夢、父への贖罪がある。

…それが…人類の勝利よりも大事だ。
…そして君を大事にはしてやれそうにない。
君に俺の右腕として兵務にはついてもらうが、
恋人としてリヴァイのところへ行け」


団長は、私、と俺、と一人称を混ぜて私に話をした。
これは建前ではなく、団長の本心を私に話してくれたのだろう。
私からケリを付けるつもりが、団長に先回りされる形となった。


「わかりました、団長」


そう、元々そのつもりだった。
最期に抱かれたことについて兵長がどう思うかわからないが、それで拒否されてももう仕方のない事だと思う。


「まぁ、散々団長に抱かれた私をリヴァイ兵長が受け入れるかどうかはわかりませんけどね」


私は、少し自嘲気味に笑って言ってみた。



「それについては問題無いだろう。
元々は君が弱っているところ、君の優しさにつけ込んだのは俺だからな。
今こうして腕を食われ心身共に疲れ切っている俺をリヴァイも可哀想だと思ってくれるだろう。
リヴァイもそんなに見た目程小さな男では無い」


団長はいつもの調子で笑いながらそう言った。


私は流されやすい。
それは団長とのことでわかった、自分自身の一面だった。
でもそれは団長だったからじゃないだろうか。


団長はあぁ言ったものの、兵長が私を受け入れる保証なんてない。
まして、お互いの気持ちを確かめ合った後に、団長に抱かれているんだから。


「見た目程って…、団長しか言えない冗談ですね」


ふふっと二人で笑った。
これで、ようやく一区切りつけることが出来た。

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