第28章 奪還作戦
交戦の際に超大型の熱風を浴び、ハンジさんを筆頭に負傷者が多数。
リフトが無い為、ローゼの向こう側へと馬を運べない事もあり、連れ去られたエレン達を追う事が出来ていないと言う。
今は負傷者含め存命の兵士達はトロスト区とクロルバ区の中間地点壁上で待機している。
ミケ班は巨人出現時、104期を連れて四方に別れて住民の避難誘導などを行なったが、ミケさんは行方不明、ナナバさん・ゲルガーさん・リーネさん・ヘニングさん達は巨人と交戦し、戦死したとのことだった。
そんな…。
あのミケさん達がやられるなんて…。
あれだけ死線をくぐり抜けた人達がやられるということは余程だったに違いない。
ミケさんは行方不明扱いだが、かつてその扱いになった者が戻ってきたことは無かった。
それに、以前、エレンを女型に捕らえられた時は、私と兵長とミカサですぐに追いかけてようやくなんとかなったというのに…
あとは…ハンジさん…
みんな…無事でいて…
「それなら、壁の上を走って合流しよう。馬を上げる準備と隊編成だ。憲兵にも活躍してもらう」
すぐに団長から指示が出た。
私がウジウジと非建設的なことで頭を使っている間にこの人は事態の打開策をすぐに打ち出してきた。しかもこの発想力。とんでもない人だ…。
急いで準備に取り掛かろうとしたところ、リヴァイ兵長が私とエルヴィン団長の前にやってきた。
「どうした、リヴァイ。お前は連れてはいけないぞ」
「あぁ。不本意だが仕方ねぇ。だが、俺はお前らにまだ用がある。それにエルヴィン、人類の勝利の為にはお前の頭が必要だ。エマ、こいつを必ず生きたまま連れて帰れ」
ドクン、と大きく心臓が跳ねた。
私は、兵長から生きて戻ってこいと言ってもらえたんだと理解した。
戦いだけがどんどん舞い込んでくるので忘れかけていたが、結局何もかもが中途半端なままだったのだ。
「はっ。承知しました!」
兵長にしっかりと敬礼した。
横目でエルヴィン団長の顔が見えたが、いつもと変わらないように見えた。