第26章 女型捕獲作戦1
結局、私はまた逃げていたのだ。
自分の気持ちから逃げて、団長の優しさに逃げたから…
「エマ……」
兵長の手が止まった。
あぁきっと呆れられたんだろう。
私自身、自分に改めて幻滅してるところだ。
両手を縛られ、服は乱れ、ポロポロ情けない言葉と涙を流す私の姿はきっと酷く滑稽だろう。
兵長が一呼吸置いて話し出した。
「なぁ、お前はまたどうせくだらねぇことでも考えてるんだろう。…エルヴィンもわかってるはずだ。あいつは恋人を作らん。
…お前の気が済まないならエルヴィンときっちりケリをつけて来い。
エルヴィンがお前の身体を知ってる事に何も思わん訳ではねぇが、それがどうした。お前が俺の事を想ってるなら話は早いだろ」
そこまで言うと、兵長は私の両手を結んでいたクラバットを解いた。
「お前はどうしたい?俺は今すぐにでもお前が欲しい。
明日なんてわからんからな。だが、お前の意見を尊重しよう」
兵長は率直に優しくそう言った。
「私は…団長とは恋人では無いですが…きちんと話したいです。それまで、兵長とは…」
「そうか…わかった。お前の判断を信じよう…。
だが、お前は必ず生き残れ。
いつかの時みたいに軽々に自分を投げ出すようなマネだけはするなよ」
必ず生き残るという約束が出来ないのはお互いわかっているが、それでも言いたくなることもわかる。
約束出来ない約束を交わし、自分の部屋へと戻った。
翌日、私は作戦参加の為に兵舎へと戻った。