第26章 女型捕獲作戦1
私と兵長とエレンは旧本部へと戻った。
初めて壁外へ出た時ほど取り乱しはしなかったものの、今回の壁外調査でも自分がいかに無力かを痛感する結果となった。
「すみません、俺が選択を間違えたばっかりに…」
エレンが悔しそうに言う。
「言っただろう、結果は誰にもわからんと」
兵長はエレンに返した。
その通りだ。
後からならなんだって言える。
けど、結果がわからない状態でも選ばなければいけない時は、来る。
兵長だって、エレンにああ言ってはいるが、自問自答を全くしない訳ではないだろう。
兵長や私がそれを外に出さないのは、ただ経験値がエレンよりも少しだけ多いというだけだろう。
しばらくして、ハンジさんが来て会議が開かれた。
女型の巨人の正体がわかった、との事だった。
それを突き止めたのはアルミンだった。
トロスト区での作戦を思い付いたのもアルミンだったし、エレン・ミカサ・アルミンは逸材だ。
女型の正体は、エレン達の同期で憲兵団に入った、アニ=レオンハートだった。
正確にはまだ証拠は無いが、状況証拠で目星が付けられたのだ。
しかし、女型の仲間がいる可能性も有り、その疑いは他の104期達に向けられていた。
今回の作戦では、他の104期の監視を行うミケさん達と捕獲作戦を行う私達と、古参の調査兵は二手に分かれる事となった。
女型にばかり目がいっているが、超大型や鎧も知性のある巨人の可能性が大いにある。つまりはエレンのような人間が紛れ込んでいる可能性があるのだ。
女型の巨人捕獲作戦が決まり、それぞれ明後日の王都召集日に備える事となった。
旧本部で寝泊りするのは、私・兵長・エレンだった。
「兵長…脚の具合は如何ですか?私で出来る事があれば仰ってください」
「…まぁ、特に何もねぇが。…あぁ、それなら茶を淹れてきてくれるか」
兵長はミカサを女型から庇った際に脚を痛めた。日常生活には大きな支障が無いとは言え、立体機動装置も使えないし安静にしてもらうに越した事はない。