第25章 リヴァイ班
翌朝、いつも通り団長と自主訓練をした後、旧本部跡地へと向かった。
団長は昨晩のように自身の気持ちを私に話す事は無かったが、私が身支度する時に見えた私の鎖骨にある赤い印はしっかりと団長の気持ちを主張していた。
シャツの一番上のボタンだけを外す分には、外からは見えなさそうな位置にアザは付けられており、やっぱり団長は抜かりないなと少し可笑しくなった。
旧本部跡地へ到着し、先ずは兵長の所へと向かい、
「兵長!エマ=ライトニング、到着致しました!
よろしくお願い致します!」
と、敬礼した。
「あぁ、急にすまねぇな。他の奴らにも顔を見せてやってくれ。お前が来ると聞いて特にペトラとエレンが喜んでいた」
「了解しました。他に何か仕事はありませんか?」
「今日は調整日だ。むしろ兵団内でお前だけをここまで走らせてしまってる状態だ。準備だけ他の奴らに聞いてやっておいてくれたら好きに過ごして構わん」
「わかりました、では失礼します」
再度敬礼し、部屋を出ようとすると、
「あぁ、いや…やっぱり夜、久々に茶に付き合え。食器はペトラが管理している」
「わかりました、ではまた夜に伺います」
何事も無く、話は終わった。
私は自分で思っていたよりも薄情な人間なんだろうか。
涙する程リヴァイ兵長の事を想っていたというのに、エルヴィン団長に優しくされてもう心変わりしたのだろうか。
だが、兵長にはレイラがいる。
それは奇しくもこの場所で思い知ったではないか。
私がただ想い続けても報われることも無いし、兵長にとっても迷惑なだけだろう。
これで良いのだ。