第21章 壁外調査とトロスト区
よりによって調査兵団が不在の時に…
今…私がすべき事は…
私は右手の刃を逆手に持ち替えた。
「先遣隊と共に前線へ立ちます!!!
住民の避難をお願いします!!!」
移動しながらも逃げ遅れている住民を誘導し、狙ってくる巨人を討伐する。
「早く逃げてください!!!」
5体、6体、7体…
クソっ、ガスと刃の補給が必要だ…
するとようやく住民の避難完了の鐘が鳴り、一旦本部へと戻った。
すると何やら訓練兵達が三人ほどピクシス司令と話をしていた。
よくわからないが、その内の一人が新しい生物兵器とやらで巨人の力を有しているらしい。
「エマや、イアン達精鋭斑と一緒にエレンの援護をしてくれ」
ピクシス司令から指示が出る。
「エマ、私たちはそのよくわからないものの為に命を賭ける。私たちだけじゃない、ここで戦う兵士みんなだ」
リコが不満そうに言う。
リコの言う事は最もだ。
正直皆が思っている。
「リコ…、けど私たちだけじゃあの大穴を塞ぐことは不可能だ。作戦を聞いたが、それに賭けるしかないよ」
「調査兵団は団長筆頭にバクチ打ちしかいないのか。こっちだってやる事はやるが、グチぐらい言わせてくれ」
リコは同期だ。出身訓練所も違い、所属も違うが、彼女の男らしい性格と実力、髪の色も少し似ている事から、あまり話す機会が無いのになんとなくウマが合う。
「エレン…とミカサ、アルミンと言ったね。援護は任せて。絶対成功させよう!」
私も彼らとそこまで年端は変わらないが、経験値が違う。
緊張した面持ちの彼等に声を掛けた。
そうして作戦開始後、エレンは一時我を失ったもののなんとか取り戻し、大岩を担いで穴を塞ぐことが出来た。
その間私の討伐数は正確に数えきれていないが20体以上は討伐しただろう。
だが、イアン、ミタビ…犠牲になった者も多かった。