第16章 重なる想い
私が安堵したのを確認したように、信玄様は再び語り出した
「俺は自分が病死したと噂を流し、同じように信長と敵対していた謙信のもとに身を寄せた。武田軍は惨敗し、敗走する兵たちは信長によって徹底的に叩き潰されたよ」
徹底的に叩き潰される……
その言葉の意味を想像すると、恐怖で足がすくむ
ほとばしる激情を抑えるように、信玄様の声が低くなった。
「いつか俺は……武田の軍旗を、青空に堂々、掲げたいんだよ。散っていった奴らを供養して……生き抜いた奴らがのんびり暮らしていける場所を、取り戻す」
ギリッと奥歯を噛み締め、顔を僅かに歪める