第16章 重なる想い
「それでも戦場に戻ろうとしたところを、幸に止められた。『今、御館様が死んだら武田は二度と再興できない』ってな。はっとしたよ。あいつのあんな必死な顔見たのは、初めてだったからな」
そんなことが、あったなんて…
でも…幸村がそんなこと言うってことは…
もしかして……重い病気なんじゃ…
嫌な予感に胸が騒ついて
「…その……病気は…?今は、…もう治ってるんですか?」
恐る恐る聞いてみると
私の心配とはよそに、信玄様はにっこりと笑みを浮かべる。
「もちろん。じゃなきゃ、戦おうなんて思わないさ」
あぁ…良かった……