第16章 重なる想い
「かつて、俺が甲斐で住んでた城は躑躅ヶ崎館って言ってな。その名の通り、城っていうよりも平地に立った背の低い館だ。」
「そんな形のお城もあるんですね」
知らなかった。お城といえば、春日山城や安土城が普通だと思ってたから
「篭城には向かない城さ。それでも俺には、堅牢な城を築くより、皆と同じ目線の館に暮らし、団結して敵を追い払う方が性に合ってたからな」
その言葉に幸村や武田の家臣の人たちを思い出す
こんなに弱い人たち寄り添える人だから…
だから皆、信玄様についてくんだ…
「…ごめんなさい…。私…何も知らなくて……」
正々堂々と戦ってないなんて、ひどいこと言った
「気にするな。俺は無理矢理、君を連れてきた。非難されて当然だ」
やっぱりこの人には勝てないな…
信玄様の優しくて美しい、微笑みに頭がクラクラしそうになる