第16章 重なる想い
胸をつく衝動に任せて、言葉を続けた。
「信玄様の故郷の話…、信念の話し…もっと聞かせてくれませんか?」
「今日の君は積極的だな…。君が望むなら…」
信玄様はそう言うと、水面を眺めながら懐かしげに話し始める
「米の収穫が少ない甲斐の国では、領民を食わせるために、外へ戦に出なくてはならなかったんだ。だが、いたずらに領土を広げれば、人の血が流れ、民や兵も疲弊する。俺は、弱い者を虐げるようなやり方はしたくなかった」
いつか話してくれた、信玄様の信念…
「だから、戦わずして領土を広げる策として情報戦
と言う方法を取るようになった」
信玄様の情報を使う戦略は、国や民のことを思ってたんだ
静かに続ける信玄様の言葉に、私は黙って耳を傾ける