第16章 重なる想い
「え?…でも……」
「…俺には…必要ない。この乱世にいる限り、君がまた戦に巻き込まれることがあるかもしれない。
その時に…これで君を少しでも守ることができるなら、俺はこれを君に持っていてもらいたい。」
戸惑う私に少し言葉を選ぶように話す
「ーーーーー君には、生きていてほしいから」
笑ってるはずの信玄様が、なんだか儚げに見えて…
急に私は不安に襲われた
なんだか…信玄様が消えてしまいそうっ……
「そ、それじゃあ…し、信玄様はっ…?」
信玄様には、なぜこれがもう必要ないの?
これじゃあ…まるで……
「そんな顔するんじゃない。俺は強いから、験担ぎなんかしなくても戦で死にはしない。」
信玄様は、そう笑って再び私の頬に触れた
確かに…信玄様は強いけど…なんか…違和感…
信玄様が私の頬から手を降ろすと、静かに流れる水面を覗き込んだ