第16章 重なる想い
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「あいつ…こう見ると……どこの姫だか分からなくなりますね」
幸村が離れたところで武田の家臣に囲まれる乃々を見つめる
「…ふっ……そうだな…」
信玄は楽しそうに笑う乃々を見て笑みこぼす
その信玄の横顔を、幸村は複雑な思いで見つめた
「御館様も…そろそろ自分の幸せを考えてもいいんじゃないですか……」
「んー?何か言ったか?」
ボソリと呟く幸村に聞こえたのか、聞こえていないのか…信玄はゆるりと返事を返す
「…いえ……」
乃々が家臣たちにお酒を勧められるまま、飲みはじめたのを見ると
「やれやれ…姫を助けに行くとするか……」
信玄が優しい笑みを浮かべたまま、乃々の元へ向かった