第16章 重なる想い
佐助くん…本当にすごいな
謙信様の扱いも手慣れてるけど、信玄様相手でも全然動じない!!
「くだらん、戯言はそこまでにしろ。囀っている暇があるのなら、もっと有益な話をしろ」
佐助くんに感心していた私は、続く謙信様の一言に酔いが覚めた
「信玄、お前の企んでいるまどろっこしい消耗戦とやらは、どうなっているのだ。それが終わり次第、信長に大戦を仕掛けると言っていたな」
前に…信玄様が言っていたヤツだ…
「謙信様、その話は後でも…」
「くだらない情を抱くな」
佐助くんが黙った私に気を遣うと、謙信様の張りつめた声が頭に響く
「この女にとっても、織田軍のことは捨て置けない情報だろう。俺ならば自分に関わることを伏せられてのうのうと過ごすよりも、手痛い現実でも知ることの方を選ぶ」
謙信様の言葉にさっきまでの楽しい時間が嘘のように、全員が口をつぐむ
信玄様の顔からも一切の表情が消える