第16章 重なる想い
「何を言う、乃々!酒に合うのは甘味だぞ!ほら、口を開けて」
「えっ?!」
これは…世に言う『あーん』ってやつ?
いやいや…恥ずかしすぎるでしょ
しかもみんなの前でなんて絶対無理!!!
「…無……むぐっ」
拒否する前に羊羹を口に押し当てられ、どうすることもできず一口食べる
「信玄様。それはセクハラです」
違う卓にいたはずの、佐助くんが信玄様のセクハラを見つけてすかさず飛んできた
「…せ、せく……なんだ?佐助??」
「女の子に無理ににそんなことしてはいけません。世が世なら訴えられますよ」
「…佐助はたまによく分からないこと言うよな。お前がこの世の者とは思えない時があるよ」
眼鏡を光らせた佐助くんを、信玄様がマジマジと見つめる
佐助くん…バレちゃうよ…
二人のやり取りを見て、ドキドキしてる私とは対照的に飄々とやり過ごしてく佐助くん