第19章 神の遣わし導き子
「わかった。みんな、ついてきて!近道があるよ!」
「おっ、サンキュー!」
嬉々としてトド子についていくおそ松たち。その小さな背中に一松が声をかけた。
「ねぇ」
「ん?何?」
「あそこでずっと俺たちのこと、待ってたの?」
「うん、そうだよ」
「もし俺たちが悪い奴だったら、どうする?」
「私の両親は、ずっとあなたたちを見てるんだよ。頂上に導くべきだと判断したから、私が迎えに来たの」
「もしあんたを殺したら?」
するとトド子は淋しそうな顔をした。
「その時はその時だよ。私は命を落とすけど、その相手も頂上には行けなくなる」
「………それで納得してるの?」
「する以外にないんだよ。それがゴールドドラゴンの子として生まれた、私の運命だから」
一松はトド子を抱き締めた。
「簡単に言うな!!もっと命を大切にしろ!」
その腕に手を添える。
「ありがとう。でも、仕方ないんだ。それにね、ゴールドドラゴンにお願いした者は、次のゴールドドラゴンになるんだよ」
「えっ?!そうなのか?!」
「うん」
「………はっ!!そうか、新たなる輝きって、そういうことなのか!!」
「そして導いた者は、シルバードラゴンになるの。そして夫婦になって、また新しい導き子を生むの」
「………そこに愛はあるのか?」
「どうかな…。でもそれも運命だから」
「その運命も、終わりにしてやるよ!」
「ありがとう、一松」
「みんな、伏せろ!!」
カラ松の叫びに全員身を屈める。トド子も一松に寄り添うように屈んだ。少しするとその頭上すれすれに飛ぶ何かがある。顔を上げるとそれは、無数の虫系モンスターだった。見るからに固そうな体だ。
「みんな、乗れ!!」
「私にも乗って!!」
おそ松はロック鳥に、トド子は緋色のドラゴンになった。だがトド子の飛び方がおかしい。見れば左肩から血が出ていた。
「トド子、そのけがはどうした?!」
「一松が狙われてたから、危ないと思って」
「ばか!俺なんかの代わりになんか、なるなよ!」
「バカは一松だよ!俺なんかなんて、言わないで!」
するとチョロ松が唱えた治癒魔法で少し傷がふさがった。
「チョロ松!」
「あー。やっぱ駄目だわ。トト子ちゃん、よろしく!」
「うん!」
トト子の治癒魔法が傷を完全にふさぐ。
「ありがとう、みんな!」