第7章 閉目の可視者
「僕、レプリコーン!」
「レプリコーンは弓矢を使ったりしないはずだが」
「色々あってね」
「見えてんの?」
「ああ。と言っても、輪郭だけだがな。俺たちレッドアイ族は、目を開くと熱線が放たれる。その力が強いために、目を閉じていても輪郭は見えてるんだ」
「何で暴力、ふるわれてたの?」
するとカラ松は下を向いて、悔しそうに拳を握りしめた。
「昔からそうなんだ。俺たちレッドアイ族は、何かと迫害されてきた。目を閉じているのが気味悪いとか、そういう理由でな。だが俺たちだって、好きでこうなった訳じゃない」
「ひどい話だ」
「おお…!分かってくれるか?!」
「んで、目を開くとどうなんの?熱線はわかったけどさ」
「視界に入る物を焼き尽くしてしまうんだ」
おそ松がハッとした顔をして言った。
「確か昔は、ジュエルアイって呼ばれてたはずだ。母さんの持ってた本にあった。あんまり綺麗だから、目を奪って売り買いされてたんだと。んで、その惨劇が続かないように、目を開くと熱線が放たれるようになったって」
「本?本とは何だ?」
「え?お前、本も知らないのか?」
「あー。読む前に焼き尽くすんだな」
カラ松の妹が、カラ松の服を引っ張った。
「お兄ちゃん…」
「ん?ああ、そうだな。お前たち、ここで立ち話も何だし、俺の家に来ないか?宿屋をやっているから、泊めてやるぞ。俺たちを助けてくれた礼だ、無料でいい」
「やりぃ!!行く、行く!」
おそ松たちはカラ松兄妹についていくことにした。
街に入ったおそ松たちは、レッドアイたちに囲まれた。
「おい、何だこいつらは?」
「心配ない。俺たち兄妹を助けてくれたんだ」
「はぁ?ふん!どうせ褒美が目当てなんだろ?」
「何だと?俺は母さんの病気を治してもらうために、ストーグロックに向かってんだよ。んな暇はねぇよ!」
どっと笑い出すレッドアイたち。
「ふざけんなよ。病気くらいでストーグロックに行く?はん!そんなの、薬草とかで治るってのによ!」
「そんなの、色々試したさ…。けど、駄目だったんだ。魔法も薬草も、効かないんだ…」
「嘘つけ!そんな病気が存在するか?!」
おそ松はそう言った男の肩を掴んだ。
「だったら、教えろよ!人間の病気を治す手だてをよ!知ってるんだろ?!なぁ?!俺だって、今すぐ帰りてぇよ!!」