第6章 おそ松の苦悩
キラーフィッシュで腹を満たしたおそ松たちは、たまに襲いかかるモンスターと戦いながら、ストーグロックへと足を進める。
神、すなわちゴールドドラゴンがいるその山は、まだまだ遠い。
洞窟があればまだいいが、ほとんどは野宿だ。時には一松になついたアニマル系モンスターの巣で、一夜を過ごすこともあった。
「はぁー。ふかふかのベッドで寝たいよー。誰かが作った料理を、食べたいよー」
思わず愚痴が出る。
「願いを叶えるためとはいえ、野宿の連続は、参っちゃうよね」
「ある程度まで飛んで行って歩くってのは、駄目なのかな?」
十四松の意見に、おそ松は目から鱗が落ちる想いだった。
「やってみよう!」
早速ロック鳥になり、仲間を乗せて飛んだ。が、どういうわけか、全く前に進まない。どんなに翼を羽ばたかせても、その場から移動出来ない。地に降りて仲間を降ろし、姿を戻す。
「ぜんっぜん進まねぇよ!!何なの?!俺、疲れただけじゃん!」
「おそ松兄さん。おんぶしてあげるよ」
「ありがとうー、十四松ー。いい子だねー」
「へへー」
十四松に背負われたとたん、眠りについた。
「羽ばたくのって、そんなに疲れるのか」
「俺たちを乗せてるからね。それともただ単に、眠かったとか」
「子供か!」
「十四松」
「あい」
「重くないの?」
「全然!軽いよ」
「あ、そ」
本心だ。重いどころかあまりの軽さに、ちゃんと食べているのか心配になるくらいだ。
「…あれ?」
十四松はその異変に気づいた。おそ松の体が熱い。
「チョロ松兄さん!」
「どうした、十四松?」
「おそ松兄さんの体が、熱いんだ」
「えっ?!」
チョロ松もさわってみる。
「あっつ!!いつからなんだ?!何で言わない?!」
「言えなかったんじゃない?おそ松ってさ、リーダーの自覚、ちゃんと持ってるから」
「だったらなおさら、言わないと!」
「だからこそ、言えないんだ」
「兄さん、回復魔法をかけてあげて!」
「あ、ああ。そうだった」
チョロ松は慌てて回復魔法を施した。
「あ、熱が引いていく。よかった…」
「ありがとな、チョロ松。おかげでスッキリしたよ」
「変なプライドはどうでもいいから、ちゃんと言いなよ?!」
十四松の背中から降りながら、おそ松は沈んだ声で言った。