第9章 Don’t Die Away
その夢を見たのは久方ぶりだった。
『沙羅……』
ああ、また。この声。
以前と変わらぬ哀しみに満ちた呼び声に胸が痛くなる。
もうやめて。聞きたくない。
必死に耳を抑えようともがくも、指一本動かせない身ではそれすら適わない。だがいつもならただ名前を繰り返すばかりの呼び声がその日は少し違った。
『死ぬな……沙羅……』
……え……?
『また俺を……ひとりにするのか? 俺を置いて逝くのか……?』
死ぬ?
置いて逝く?
何を言っているの……?
『おまえと逢えて、やっと……やっと護るものができたのに……』
悲痛な声に、心臓を抉りとられたような感覚に襲われる。
イタイ
イタイ
胸ガイタイ
息ガ苦シイ――!
『沙羅――――っ!!』
その叫びで目が覚めた。
*