第4章 Cloudy will be Fine
「第七席草薙沙羅、ただいま任務から戻りま……あれ?」
十三番隊の隊舎の扉を開けた沙羅は、その中央で円卓を囲っている面子に目を丸くした。
「隊長? 仙太郎に清音も――え、どうして? 今日って席官会議の日でしたっけ?」
そこに集っていたのは隊長の浮竹十四郎以下、十三番隊の上位席官を務めるそうそうたる顔ぶれ。慌ててスケジュール帳を確認する沙羅に、第三席の虎徹清音は「違う違う」と顔前で手を振って笑った。
「今ね、沙羅に内緒で話し合ってたところなのよ。次の副隊長を任せるとしたらあんたしかいないってね」
「……え?」
「バカ野郎ぉぉこのハナクソ女っ! それを言っちまったら内緒にならねえだろうがっ!」
唖然とする沙羅を前に、もうひとりの第三席・小椿仙太郎がすかさず清音を蹴り倒す。
「ああっしまった! ……ってうるさいぞ小椿! おまえにバカ呼ばわりされる覚えはない!」
「じゃあアホだこのハナクソ女!」
「アホでもないわっ!」
ハナクソはいいのか、という疑問は飲みこんで沙羅は別の方向に顔を向けた。
「……隊長、どういうことですか? その件についてはまだお返事させていただいてないはずですけど」
冷えた視線を向けられた浮竹は、いつもの人懐っこい笑みを浮かべながら頭をかく。
「いや、おまえの返事を聞く前にみんなの意見も聞いておこうと思ってな。そのほうがおまえもあとあとやりやすいだろうし――」
「あとあとの前に今がやりづらくなるじゃないですか!」
「や、その……スマン! 悪かった!」