第3章 A Strange Death
奇妙な死神に会った。
一週間前、現世での任務をあらかた終え、息抜きに町外れの森の奥にあるさびれた公園に向かったときのことだ。
その公園には以前から現世で時間があいたときはよく足を運んでいた。
町外れという場所柄人気はほとんどなく、人間が生みだす煩わしい喧騒にうんざりすることもない。おかげで周囲を気にかけることなく身体を休めることができるのだが、その場所を選んだのにはもうひとつ理由があった。
それは、公園の中央にひっそりとそびえ立つ桜の木。
数百年の月日を思わせるその巨大な幹は遥か頭上へと続き、この辺り一帯ではもっとも天に近い場所まで伸びていた。
ゆえにその頂上からは町全体が一望できる。普段のあの騒がしい空座町が嘘のようにそこから見える景色は雄大で静穏としており、それを眺める時間が現世では一番の寛ぎだった。
だからその日もなにも気にとめることなく行ったのだ。
これまでに一度としてほかの人間が足を踏みいれているさまを見たことがないその場所に、まさか先客がいるとも思わずに。
そうして辿りついた桜の木の下には、見たこともない死神――しかも女――があろうことか心地良さそうに居眠りをしていた――