刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
「主ちゃん、手伝いに来てくれたのかい?」
「うん、なんか体動かしてる方が気が紛れて…」
へへ、と作り笑いをすると、光忠と同田貫さんは、あぁ、と納得したように溜息をついた。
あれからずーっと、何をしていてもシーちゃんに言われたことが頭から離れない。
略奪なんてありえない、大倶利伽羅さんは決して私を裏切るようなことはしないと信じているけど、何度も大倶利伽羅さんの近くにシーちゃんがいるのを目の当たりにすると、段々と不安と焦りが募る。
錯覚と言われたことがよほど堪えたらしい。
何か体を動かしていないと余計なことばかり考えてしまう。
「あんたが手伝ってくれんなら俺はあっちの畑見てくるわ」
「たぬたぬさん一人で大丈夫?」
「ああ、ちゃちゃっと終わらせてくる」
たぬたぬじゃねえって言うわりに、そう呼んでもちゃんと質問に応えてくれる同田貫さんが何だか可愛い。
光忠と目を合わせてクスクス笑っていると、遠くの方から「たぬたぬじゃねえぞ!」と遅れて文句が飛んできた。
「えっと、これくらいの大きさのはもう収穫しても大丈夫だよね?」
「そうだね、果皮がツヤツヤとして張りがあるのは食べ頃だよ。あ、ヘタを切るときトゲがあるから気を付けてね」
「はあい」