刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
自身の身に起こっていることがにわかに信じられなくて、私を探しに来た日向くんが来るまで、私はその場に立ち尽くしていた。
酷く心配する日向くんに何も言えないまま…仕事も手につかないまま部屋に戻った。
錯覚…
縛り付ける……
シーちゃんの言葉がこびりついて…忘れたくても忘れられない。
だけどどんな時でも時間は無情に過ぎていく。
あれからいつの間にか寝てしまったようで……気付いたら朝になっていた。
私の心とは裏腹に、カーテンを開けると朝日が眩しく、それを浴びた朝露で濡れた地面の土がキラキラと光輝いていた。
昨日と同じ天気と風景。それなのにまったく違うものに見える。
何事もなかったように…出陣部隊を見送った。
シーちゃんにあんな事言われたなんて、大倶利伽羅さんに、皆に知られたくなかった。
執務の合間に畑当番の収穫を手伝おうと、畑に着くと、大きななすを収穫している光忠と同田貫さんの姿。
「光忠とたぬたぬさんお疲れ様。立派ななすだね!」
収穫用の籠を抱えながら手を振り近付くと、同田貫さんの「たぬたぬじゃねえ!」って文句がすかさず飛んでくる。