第2章 ◆ホワイトデー 皇天馬
「……」
「ま、まだテンテンが浮気したって決まった訳じゃないじゃん!!?
それにテンテンの事務所は否定してるし…!!」
「……大丈夫だよ。心配してくれてありがとう、一成くん」
私を気遣ってだろう、一成くんが必死に否定してくれている。
私よりも年下の彼に気を遣われているのがひたすらに申し訳なくなり、できるだけ平然を装って返すと、一成くんはそれでも心配の色を瞳にうかべ、私を伺ってくる。
「本当に大丈夫だから。ね?それよりも早く買い出し終わらせちゃお!
早く帰って支度しなきゃ、お夕飯が遅くなっちゃう」
「うん…」
その日は臣くんが夕飯当番だったが、彼も報道を聞いたのか、夕飯をカレー味のメニューに変えてくれた。
皆の優しさを有難く受け止めながら、極力いつも通りに振る舞う。
これ以上心配をかけないように。
天馬くんが帰ってきた時に、平常心を保てるように、心の整理をしながら。