第2章 ◆ホワイトデー 皇天馬
お互いに準備が整った所でドアを開けると、これでもかという人数の報道陣が、寮の門を取り囲む様にして待機していた。
「…あ!誰か出てきたぞ!!」
「すいませーん!お話聞かせて下さい!」
「は!?お話ってなに…」
突然のことに戸惑う私をよそに、一成くんはアチャー…という様な表情で天を仰いでいた。
これは一体どういうことなのだろう。
ついに支配人が相当な事をやらかしたのか…。
しかし、報道陣から飛び出してきたのは、思いもよらない内容だった。
「こちらの劇団に所属している皇天馬くんのゴシップについてぜひお話をお伺いたいのですが!」
「……ゴシップ…?」
「あーあーあー!!テンテンならまだ戻ってないですし僕達なんの関係もないので!!失礼します!!!」
そう言って、群がるマスコミの中を手を私の手を引いて切り抜けて行く。
マスコミもわざわざ私達を追いかけようとはせず、また寮の前に陣どり初めている。
余りに突然なことに頭が追いつかず、ただ一成くんに手を引かれるまま、ブロードウェイの方まで走っていた。
「はぁ……はぁ……ッカントクちゃん、大丈夫?」
「は…っはぁ……ッへ、…き……。だけど、あのマスコミの人たちは何なの…?天馬くんのゴシップって…」
「……隠してても、仕方ない、よね…」
一成くんは諦めたようにそう言ってスイスイと携帯を操作したかと思えば、あるトップニュース画面を私に見せてくれた。