第2章 ◆ホワイトデー 皇天馬
「ちょ、これマジかよ…?」
「い、いやいや、あのテンテンがこんな事するわけ…」
「あのポンコツ役者…なにやってんの…」
「あわわわわ、て、天馬くん……」
談話室の方が騒がしいと思いのぞき込んでみれば、寮にいる皆がTVを囲むように見ていた。
彼らの反応を見ていると、どうやら天馬くんが出ているらしい。
けれどもどうやらあまり宜しい内容ではない様子…
「どうしたの?」
「ああ、ポンコツ役者がちょっと、……ッ!!!」
私に気付いた幸くんが、慌てた様子でTVの電源を落とす。
それによって他の皆も気づいたらしく、あからさまに私がTVの内容について触れないようにと話題をそらしているのが分かる。
「……何を隠そうとしてるの?」
「な、なんでもないよ〜ん!それよりカントクちゃん、そろそろ夕飯の買い出し行かなきゃなんじゃない!?一緒に行こ!!」
「あ、ちょっと一成くん!?」
私の手を無理やり引き、一成くんが買い出しに向かう準備を進めていく。
言いたがらないことを無理に聞いて良かったことなど一度もない、と自らの経験則を思い出し、聞き出すことは諦めて、自分も買い出しに行く準備を始めた。