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Suprême.

第6章 Tes chaussures.


さて…、とタクミは創真に視線を投げる。

「そちらは作業が進んでいないようだけど、

いったい何を作ってくれるんだ?」

既に勝ちを確信したようなタクミは、ふんっと鼻を鳴らす。

「なるほど、おふたりは勝負するんでしたね…」

日向子はその様子を眺めると、

「先ほどの品に並ぶ程の味が期待できるなら…、

よろしい!どちらの方が美味しいか、特別に審査してあげます!」

と手を叩いて言った。

それを聞いた二人は嬉しそうに盛り上がる。

「聞いたか幸平!」

「おーやってやろうじゃねーか!」

日向子さんの審査か…、と琥珀が内心冷や汗をかいていると

「では負けた方は土下座を!」

と日向子は笑って言った。

え?、と二人が一斉に固まる。

『だって日向子さんだもん…』

「相手の目の前で土下座して、"僕は負け犬です"と3回唱えましょう。

店の名をかけて勝負するなら、これくらいの重みがなければ」

ふふふ…、と日向子は黒い笑みを浮かべて恵の手を取った。

「あ、でも貴方は土下座しなくていいですよ、田所 恵さん…。

指、綺麗ですね…」

『あ…私は土下座するんだ…』

珠宝席の土下座なんて…もう学校を歩けないな…、と

琥珀が遠い目をして思っていると、タクミはよ、よし!と声を上げた。

「とにかく…、俺達を越える料理、作れるものなら作ってみろ!」

「…っ!」

息を呑む恵の横で、創真は少し考えると、

何かを思いついたような顔でにやっと笑った。

「田所!付け合わせにこの食材を使いてーんだ。

採ってきてほしい!…見分けつきそうか?」

創真から1枚のメモ用紙を受け取った恵は、しばらく眺めてから大きく頷いた。

「えっと…うん!大丈夫だと思う!

田舎で山菜採りとかよく行ってたから」

「おし…!頼んだぜ田所!」

「創真くんはどうするの?」

「俺も探したい物があるからもう1回外に…、っとその前に」

創真は外に向きかけていた身体を日向子の方へ向ける。

「乾先輩!ここにあるものだったら、"何を使っても"いいんすよね?」

『……?』

「?はい。柵の中のエリアならなんでも…」
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