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Suprême.

第6章 Tes chaussures.


綺麗に皮を剥がれた合鴨を見て、教室中が息を呑む。

「な…、合鴨だって!?」

「合鴨だけじゃない…。エリア内には鶏やウサギなんかもいたぜ?

誰も探そうとしないのが不思議でならないね!!」

調子に乗って周りを煽り散らかすタクミの頭を琥珀は軽く叩く。

『はいはい軽口叩かない。さっさと始めなきゃ、スジ取りまででいい?』

「…ああ、頼む」

タクミは幸平の肩を押し退けると、調理台までやって来た。

『りょーかい』

スッスッと的確に肉の部位を切り分ける包丁捌きに、感嘆の声が上がる。

はい、と声をかけ切り分けた肉を滑らせる。

それを無言で受け取ったタクミが調理に入るのを見届けると、

琥珀はボウルに醤油、からし、黒胡椒、蜂蜜を混ぜ合わせたものを用意し、タクミの前に滑らせる。

元々琥珀の調理技術は尊敬するものだったが、

やはり珠宝席というだけあって観察眼が凄いな、とタクミは思う。

行き帰りと自分が何を作るか言っていないのに、

材料や自分の調理を見て次何をするのが

最適かしっかりと分かっているようだった。

フライパンでしっかりと肉を焼き上げ、

琥珀の寄越したソースを表面に塗りオーブンに入れる。

「Forno Accendere!」

と真顔で言うタクミに、

そういうこと言っちゃうから残念なんだよなぁ…

と琥珀は冷めた目で見る。

オーブンに肉を入れて手持ち無沙汰になった為か、

タクミはまた創真に絡みにいっているようだった。

「申し遅れた、俺の名はタクミ=アルディーニ。

俺は地元のtrattoriaの厨房に入っていた」

「トラットリア…?」

と恵が首を傾げる。

「イタリア語で、所謂"大衆料理店"を指す言葉さ。

…君と同じさ、幸平。

この俺も、現場で城を守ってきた料理人だ」
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