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Suprême.

第6章 Tes chaussures.


「そうだよ、久し振りだな」

先程の嫌味な笑みとは打って変わって、ふわりと笑うタクミに

琥珀はほっとしながら笑い返した。

『本当に久し振りだね!』

なんて談笑を交わしていると、日向子がパンパンと手を鳴らした。

「はいそれでは〜、琥珀ちゃんも来たことですし、早速調理を始めてもらいましょうかぁ。

それでは用意始め」

ぺち、と静かに手を鳴らすと、少し遅れたように皆が慌ててドアに向かって走り出す。

『それじゃあ私達も…』

と琥珀がタクミの方を向くと、何やらタクミは創真に勝負を挑んていた。

「勝負といこうぜ幸平」

チラリとこちらをみた創真は、訝しそうに首を傾げる。

「勝負だと…?」

「どちらが格上か決めようじゃないか」

すっかりやる気になってしまったタクミに、思わず琥珀は頭を抱える。

『もう始まってるんだから早く…』

琥珀の静止の声を遮って、タクミは日向子に向かって言った。

「乾シェフ!この決着…、アナタに委ねたい!

どちらの料理こそが美味か…、厳正なる審査を!」

物凄いドヤ顔をキメて言ったタクミに、日奈子は無情にも即座に否を言い渡した。

「え…、何でですか?課題と関係ないですから…、嫌ですけど?」

「えっあ、そうですね…」

顔を真っ赤にして肩を震わせるタクミに、琥珀は堰を切ったように笑い出す。

「琥珀!お前まで笑うなよ!」

タクミは更に顔を赤くして、創真に向かって指を差した。

「とにかく!キミにだけは絶対負けられないんだ!

キミの上をゆく品を作ってやる!!

わかったか幸平!!!」

まだ尚も続けたそうなタクミの肩を琥珀は背中から押す。

『もう行くよ、時間ないんだから。

じゃあ創真達も、頑張ってね!!』

「琥珀!押すな!!」

ひらひら、と手を振って二人は調理室を後にする。

「俺らもさっさと行くか」

とその後を創真達も追うように食材調達に入った。
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