第6章 Tes chaussures.
「お前ら、白澤を困らせるのもそこまでにしろよ〜」
と静止の声を出してくれたのは、
遠月リゾート総料理長兼取締役会役員の堂島 銀だ。
『銀さん、すみません。到着後直ぐに集合とは確認出来ていなくて…』
「何、問題ないさ。我々も直ぐに会場に向かわなければならない。
それで、白澤の課題について用意しておいたものが
間違いがないかだけ確認しておいてほしいんだ。
明日からの課題だから、今日は一日生徒達と同様に課題に参加すると聞いている。
だからそれまでに確認の方だけよろしく頼む」
『わかりました。ありがとうございます』
琥珀はお礼を言って頭を下げると、
銀達は笑いながら手を振って会場へと向かって行った。
『…確認か…。それじゃさっさと終わらせないと日向子さんの講義間に合わないなぁ…』
琥珀は独り言を呟きながら、自分の講義室へと向かった。
誰もいない静かな調理室に、雑然と置かれたしおりや道具達を一つずつ確認していく。
全生徒分のしおりなどを用意し、それぞれ数冊ずつ内容が違う為、
一冊ずつ確認していると結構な時間が経ってしまった。
『あ、…しまった。もう始まってる…!』
時計を見た琥珀は、道具たちを纏め慌てて調理室を飛び出した。
更衣室に飛び込み、髪を纏めコックスーツに着替える。
バァンッ!と本日二回目の大きな音をたて調理室に入ると、
「…僕のパートナーはまだなのか!?」
と苛立った様子の男の子の声が同時に響いた。
『すみません日向子さん…!遅れました!!』
その調理室にいた生徒全員が一斉に琥珀に注目する。
「遅いですよ琥珀ちゃん…!
とっくに説明は終わって、後は貴女を待っているだけだったんですからぁ」
『すみません…!思ったより確認に手間どってしまって』
慌ててポケットから説明用紙を出し、自分のパートナーを確認する。
「やぁ琥珀。随分遅かったね」
説明用紙から顔を上げると、そこには琥珀のパートナー…、
もとい、タクミ=アルディーニが立っていた。
『あれ、私のパートナーはタクミかぁ…』