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Suprême.

第6章 Tes chaussures.


「す…」

目の前には、創真の叫び声すら小さく聞こえるような煌びやかなホテル。

某県某群_____。

富士山と芦ノ湖を望み、高級別荘地•避暑地として名高いその地に

遠月学園高等部一年の全生徒が足を踏み入れた。

「さすが金持ち学校…。こんな立派なホテルまでやってんのかー」

余りの規模に引き気味な創真がそう呟くと、

「この辺りのホテルと旅館全部、遠月が母体だぜ」

と峻がフォローを入れる。

「あぁそう…。もう何聞いても驚かなくなってきたわ…」

「数十軒の宿を"遠月リゾート"ってブランドで経営してて、

学園卒業生がこのリゾートの料理部門に就職する事も多い。

この時期だけ客を入れないで、合宿のために使われるんだ。

普通に利用したら1泊8万円〜って聞くな…」

峻の解説に創真と悠姫が驚く。

「8万!?一人分で!?」

「それもうひと月分の家賃じゃねーか!!」

皆の反応を楽しみながら眺めていると、ふと琥珀のスマホが振動する。

画面を見ると、講師陣の集合、とのこと。

ぞろぞろと極星寮の皆がホテル内に入っていこうとしているなか、琥珀は皆に声をかける。

『皆、ごめん。ちょっと呼び出しがあったから私行くね!』

それじゃあ!、と手を振って関係者通路の方へ走っていく

琥珀を見届けると、極星寮達は会場内へ入っていった。

『お早うございます』

と走って会場に入ると、この前も見たメンバーが勢揃いしている。

そしてこの視線、物凄く既視感を感じる構図だ。

「よぉ琥珀。デジャヴを感じさせる登場だな」

と揶揄いを含んで話しかけてきたのは

フランス料理店"SHINO'S"のシェフ、四宮 小次郎。

『すみません小次郎さん…。たった今バスがつきまして』

「おー言い訳なんて聞いてねぇよ」

わしゃわしゃ、と楽しそうに琥珀の髪を撫で回す小次郎。

「ホント、早く会いたかったって言えばいいのに素直じゃない」

「あ?」

と冷たい声で小次郎に油を注ぐのは、

イタリア料理店"リストランテ エフ"の水原 冬美。

「ほんとですよぉ。四宮先輩は素直じゃありません!

琥珀ちゃんに会えるのが楽しみで楽しみで仕方なかったくせにぃ」

ふふ、と可愛らしい声で冬美に賛同するのは

日本料理店"霧のや"の乾 日向子。
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