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Suprême.

第5章 Connaissance de la viande.


「迷惑かけた詫びってことで」

郁魅は後退りながら、

「本気であたしに勝つ気かよ…」

と呟く。

少し考えた郁魅は、面白そうに笑うと手を叩いた。

「業者の皆さーん、今日は撤収〜!」

その一声で、業者が研究室からぞろぞろと出ていく。

「じゃ、お題の方はそっちに譲歩してやるよ。

メイン食材は肉、作る品目は丼。

…開戦は3日後だ」

と郁魅は手を振りながら出ていく。

また無茶なこと…、と琥珀は内心苦笑する。

「ゆ、幸平…、どうして…?」

と寛一が戸惑ったように聞くと、

創真はあー、と複雑そうに声を上げた。

「…高い肉が全てってのは

定食屋の倅として聞き捨てならねぇし…」

と足跡のついたレシピ集を拾い上げ創真は続ける。

「なによりこの場所、潰すには惜しいと思ったからね」

寛一は感極まったように創真の名前を呼ぶ。

『まさか郁魅との食戟に突っ込んでいくとは思わなかったよ…』

琥珀は肩を竦めて笑う。

「…やっぱまずかったか?」

と少し顔をしかめる創真。

『創真の好きなようにしたらいいと思うよ。

暇な時は付き合うし…。

でもまぁ、今日の所はお暇しようか』

そうだな!、と創真は笑って琥珀の後に続く。

寮に戻ると、創真はレシピ集を持ってさっそく部屋に篭った。
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