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Suprême.

第4章 Beau printemps.


「そう!」

とふみ緒は誇らしげに頷く。

「十傑や珠宝席には、それ程の価値がある!

なんたって珠宝席は、

学園の最高意思決定権利を与えられている者だからねぇ…。

十傑評議会や、ましてや珠宝席が決定したことは、

講師陣や総帥だって逆らえない…。

かつてはこの寮から、毎年のように

何人もの十傑を輩出したもんさ。

まさしく極星の黄金時代!

…それに比べてあんた達の情けないこと!!」

とふみ緒はみんなを見渡す。

「も〜、ふみ緒さんまたその話〜?

珠宝席が極星にいるんだからいいじゃん!」

と悠姫は肩を竦める。

ふふ、と琥珀は笑って、

『まぁそういうこと。

私が了承すれば対戦は可能だけど、

私は創真が退学になったりすることは望まない。

つまり、勝負は成り立たない、ってことだね』

まじか〜、と創真は頭を抱えた。

「今朝5時起きして気合い入れたのに…」

と苦悩を浮かべる創真の隣で、涼子が苦笑する。

「ていうか珠宝席に挑むなんてね」

「無茶だよ…」

「多分彼バカなんだと思う…」

と続いて恵、悠姫と苦笑する。

『あ、それに、好き勝手に出来るってわけでも無くて…』

と琥珀が言うと、創真はん?、と反応する。

『勝負に必要なのは3つ。

1つ目、正式な勝負であると証明する認定員。

2つ目、奇数名の判定員。

3つ目、対戦者両名の勝負条件に関する合意。

これが揃って初めて成立するの』

「ふぅん…、めんどくせんだな…」

と創真は半ば興味がなさそうに言う。

琥珀はそれに苦笑しながら続ける。

『でも逆に言うと、

その3つさえ揃えば、この学園の全てが勝負の対象になり得る…』

「敵対するもの此れ全て、料理を以て捩じ伏せるべし…。

遠月伝統料理勝負一騎打ち、その名も食戟!」

慧の言葉に、創真は目を見開く。

『というわけで、何かをかけた勝負は出来ない。

勘違いをさせてしまったようでごめんね、一色先輩が』

ちらりと横目で慧を流し見ると、

にこりと笑って琥珀は席を立った。

冷や汗をかいて固まる慧。

琥珀に続いて皆が食堂を出る。

「食戟ねぇ…、あーあ、薙切にも勝負ふっかけたかったのに」

「か、勝てっこないよそんなの…」
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