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Suprême.

第4章 Beau printemps.


瞼の裏側が眩しくなってきたことで目が覚めた。

ぐっと伸びをして、顔を洗いに洗面台に向かう。

顔を洗って、一通りのスキンケアとメイクを済ませる。

冷蔵庫を開けて、バタフライピーアイスティーを出して飲む。

眠い…と呟きながらストレッチをして、制服に腕を通した。

『おはよ』

皆が目を擦りながら、食堂前に集まる。

「おはよ〜琥珀」

すると皆が、疑問の声をあげる。

『どうしたの?』

と慧の肩から顔を出すと、そこには創真が。

「昨日はおあずけ喰らったからね…」

と創真は私の方を見た。

「さ、珠宝席の座をかけて勝負だ!琥珀!!」

琥珀は自分を指差しながら首を傾げる。

『私?』

「おう!」

『おあずけ?』

「おう!」

あまりにも心当たりがなさすぎて、更に首を傾げる。

後ろでは、悠姫達が欠伸をしながら席につこうとしていた。

「…あれ?」

と創真が戸惑いながら呟く。

「お腹空いたー…」

「ふみ緒さん飯まだ〜?」

と不満気にいう皆に、ふみ緒は

「ぐだぐだうるさいよ!!大人しく座ってな!!」

と怒鳴る。

『一色先輩。何か余計なこと言いました?』

ぴく、と頬を引き攣らせて慧は目を逸らす。

「…ご、ごめんよ創真くん…。説明が足りなかったみたいだ…」

!?、と創真は目を見開く。

『勝負、って言っていたけど…。

創真は知ってるの?この学校の勝負のこと…』

「ん?」

わかってなさそうな顔をした創真の後ろから、

ふみ緒さんが出てくる。

「ほら!さっさと食べな!!」

皆で朝食を摂りながら、その勝負について説明する。

『もともとこの学校では、

生徒の揉め事を解決するために制定された制度があるの。

それにはいくつか決め事があって…。

今みたいに、創真が私の珠宝席の座を欲しがって

勝負を挑んでくるなら、それに見合う対価を

創真も差し出さないといけないの』

「珠宝席に見合う対価…?」

『そう。珠宝席に釣り合う対価となると…

何かな、ピンとこないね』

と琥珀が悩んでいると、慧が横から口を出した。

「そうだね、珠宝席に釣り合う対価となると、

君の退学、君のこれからの料理人生…。

それらすべてを差し出してもまだ足りないな」

と慧は困ったように笑う。

「えっまじ!?」
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