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Suprême.

第4章 Beau printemps.


『創真の実家は定食屋じゃなかった?

どうしてお父様がフレンチの技法を?』

お茶漬けを食べながら、琥珀は尋ねる。

「いや〜、それが俺にもよくわかんなくて。

あ、どうも色々な国で料理してたみたいだけど…」

『そう…』

「なるほど…」

と慧が感心したように言う。

各々が夢中になってお茶漬けをかきこむ。

真っ白な米と鰆の対比が、

まるで雪解け始めた春の様な…。

コト、と空になった茶碗を置くと、

『御馳走でした』

と手を合わせる。

「お粗末!」

と創真は嬉しそうに鉢巻きを解いた。

「美しい…、美しい雪解けだったよ、創真くん…」

「先輩こそな…。

清々しい春風、確かに感じたぜ」

へへ、と照れ臭そうに鼻を掻く創真。

「さてさて!!次は琥珀の皿ですなぁ!?」

と悠姫がテンション高めに飛び込んでくる。

『え、あそうだね…。持ってくるよ』

と厨房から皿を持って戻ってきた琥珀。

「うわ…すげ」

まるでキラキラと輝いているような存在感。

『はい、召し上がれ』

とみんなの前に皿を置くと、恵の肩を揺すった。

呻き声をあげて、眠そうに身体を起こす恵。

『デセール作ったの。よかったら食べる?』

「え!いいの?」

と直ぐに目を覚ます恵。

『どうぞ』

と笑って目の前に皿を置いた。

「じゃ、いっただきまーす!」

と悠姫は嬉しそうに手を合わせる。

「頂きます」

と涼子が手を合わせる。

ぱく、と口に含んだそれに、皆一同に動きが止まる。

口の中に入れた瞬間に広がるやわらかな甘味。

ふわりと柔らかく、口に入れるとまるで溶ける様な舌触り。

真っ白で雪の様なスポンジ生地に、

爽やかな甘味と酸味の真っ赤なラズベリーピューレ。

甘味と酸味が絶妙に混ざって、味を引き締めている。

上に乗っているのは、白と赤のクリーム。

ふわりと香る桜と苺の香りが、

下のケーキに更に良い舌触りをあたえている。

上に乗っているのは、桜と苺のマカロン・ムー。

サクリと柔らかい歯応えの中に、苺のガナッシュのまろやかさ。

アーモンドの香ばしさが奥からふわりと香る。

付け合わせている赤紫と白のソースは、

それぞれブルーベリーと

ホワイトチョコレートをベースにしている。
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