第4章 Beau printemps.
自室に戻る前に、
琥珀は創真のいる厨房へと向かった。
ひょこ、と顔を覗かせると何やらご飯を炊いている様子。
ふぅん、と唸って自室へと向かった。
今からちゃんとした料理を作ったって、
きっとみんな美味しく食べられない。
創真が作るのはきっと〆もの系だろうから…。
と唸りながら、自室の冷蔵庫の食材を漁る。
ふっ、と手に取ったのは自分が昨日焼いたソレ。
『そうだ、〆ものの後といったらあれしかないな』
と意気揚々と材料を掻き集め、琥珀は厨房へ戻った。
「お、琥珀も何か作んの?」
『みんなからの要望があったもんだから…』
と材料を並べる。
「何作るんだ?」
『創真のその〆もののあとと言ったら、
やっぱりデセールでしょ』
と早速作り始める。
卵白をしっかりと泡立て、メレンゲを作る。
それをベースに真っ白なスポンジ生地を作り、
オーブンでじっくりと焼く。
ラズベリーと砂糖、ラズベリーリキュールを鍋で煮込み、
丁寧に裏漉しをしてラズベリーピューレに。
生クリームにそれぞれフリーズドライ苺のパウダー、
桜餡を加え、しっかりと泡立てる。
別の鍋にブルーベリーとカシスリキュール、
赤ワイン、砂糖を加えじっくり煮込む。
ホワイトチョコレートベースのソースを作る。
「速いし、手際がいいな…」
とこっちに見惚れている創真に、
『よそ見するのはよくないよ』
と声をかけ、調理を続ける。
スポンジを焼いている間に、
ルビーチョコレートで飾りを作る。
焼き上がったら、セルクルで丸く切り抜き、
間にラズベリーピューレを挟む。
クリームや桜のマカロンを飾り付け、
お皿にソースと共に盛り付ける。
『できた!』
と、創真がたははと笑った。
『?』
「いや〜思わず見惚れちまって、
俺も今出来上がったんだわ」
じゃあ私も頂こうかな、と
皿を冷蔵庫に仕舞って創真と部屋に戻った。
「あれ、琥珀ちゃん、皿は?」
『創真の料理の後です』
と笑いながら腰を下ろした。