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Suprême.

第3章 Vierge Marie.


今?、と悠姫は驚いたように創真を見る。

「今は最高意思決定“機関”っていうのはないよ」

善二が続けて説明する。

「3年前、珠宝席が出来てから十傑の権力は下がったんだ。

組織図的には総帥の隣。

珠宝席には十傑や総帥でも逆らえない権力を与えられている。

つまり、今学園の最高意思を決定するのは珠宝席ってことだ」

悠姫が嬉しそうに琥珀を手で指す。

「そしてその珠宝席が、極星の琥珀ってわけ!!」

「琥珀は極星の誇りよ」

涼子が嬉しそうに笑いながら言う。

『あんまり褒められると恥ずかしいけど…。ありがとう』

へへ、と恥ずかしそうに琥珀は笑って頰を掻いた。

すると、ガチャッと扉が開いて、

「とうちゃ〜く」

とご機嫌な昭二と大吾が帰ってくる。

一色 慧もそれに続き入って来た。

「やぁ、幸平 創真くん」

と言いながら創真の前に立つ。

「ようこそ、極星寮へ。歓迎するよ。

僕は2年の一色だ。一色先輩と、そう呼んでくれ」

そう差し出された手を、

創真はうす、と笑いながら握り返した。

「やぁ、僕は嬉しいよ。

青春のひとときを分かち合う仲間が、また1人増えたんだからね。

こんなに嬉しいことはない!」

慧は腕を広げて楽しそうに語っている。

「いいかいみんな!

一つ屋根の下で暮らす若者達が、同じ釜の飯を食う!

これぞ青春!これぞ学生!!

僕はそれに憧れて寮に入ったんだ!

さぁ!これからも輝ける寮生活を、一緒に謳歌しよう!!」

側で大吾がシャボン玉を飛ばしている。

毎度毎度楽しそうだなぁ、と琥珀は苦笑した。

「…そりゃあいいっすけど…、

屋根裏伝って呼びに来るのだけはやめてもらえますか」

慧は心外そうな顔をして、

「えぇ?駄目かい?じゃあ、男子にもこれを使おうか」

と金パイプを見る。

「これで誘うと、田所ちゃんなんて毎回来てくれるしね!」

恵はゲンナリした顔で答える。

「だっ、だって…、

行くって言わないと、数分おきに話しかけてくるんだもん…」

「無視すればそのうち諦めるのに…」

「律儀だよね〜」

男子達は青ざめた顔で、

「ずっと話しかけられるのはうぜぇな…」

「屋根裏の方がマシか」

と呟いた。
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