第19章 誰
〜エルヴィンSide〜
二人とも無事で何よりだ。リヴァイはいつも通りでよかった。
…しかし、おにょは私に何か隠している気がするが。何ともなければいいが。
何ともない訳がない。顔を見たらすぐわかった。唇が腫れていた。
(あんなか弱い女の子の唇が腫れているとは…。おにょに手を出したやつは俺が殺してやる…この手で…。どんなてをつかってでも…)変わったことはないかと聞いたがないと答えた。あったではないか。ではなぜ唇が腫れていた…。ハチにでも刺されたのか?
いや、あれは人間にやられた傷だろう。
確かに私たちは周りとは違う存在だから気に入らないと思う人もいるだろう…。だが、殴る必要があるのか?おにょについて知っているからなのか…知らなかったら突然人を殴ったりはしないだろう…。やはりおにょはカギを握っているのか。
「…すまない、トイレに行くよ。」
私は一旦落ち着こうと部屋を出る。
(…食事前は何ともなかった。だが、食後に顔が腫れていた。しかし、おにょは食事中は…!?そうか、俺が果物をあげたときにそれを食べて何処かへ行ったな…。それから息を切らしながら戻ってきたな…そこか。)私はおにょが殴られた後の様子を思い出そうとした。廊下を歩きながら玄関まできた。
ぼうっと視線を靴の方にやった。
(相変わらず小さい足だな。今にも折れてしまいそうだ。)私はそう思いながら笑みを浮かべた。
すると、おにょの靴の裏から何か光のようなものが見えた。私はそこから何かを察した。
(…これは。)
私は恐る恐るおにょの靴を持ち上げた。すると、靴の裏にはGPSが仕掛けられていた。
「くそ…。やられたな。誰かが私達の命を狙っているのか。まだ盗聴器ではなくてよかったが…。それよりいつからだろう…ここに来る前からだろうか?それだったら犯人は調査兵団の中か…だが兵団内には知らせていないはずだ…。だとすればこの島の奴らか…」
このGPSがついている靴は取ることができず、もう履かせることができない。(新しに靴を買ってあげよう。この靴もほつれてきているからな…)
だが、ここでほかってしまうわけにはいかない。どこで捨てようか…。誰かにあげようか。
私は一旦部屋を出てロビーへ行き、ホテル付近の観光場所などを聞きに行った。