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鏡薔薇【文豪ストレイドッグス】

第10章 目指すのは





奏音が本部に戻ると、案の定鴎外からの呼び出しがあった。




『…失礼します。』

重たい漆黒の扉を開けると、鴎外と紅葉が二人で茶を嗜んでいる所だった。


「奏音、此方へおいで。
今し方君へのお客さんが来てね。地下室にいるのだが…」



地下室。

と云う事は、ポートマフィアにとって不利なお客なのだろうか。



『誰でした?』

「…成瀬と云う男だ。聞き覚えは?」


奏音の身体が硬直する。


「その様子じゃあ肯定しておるも同然じゃのぉ…」

そして、紅葉はお抹茶を啜る。



『成瀬が如何したんです?』

「奏音を迎えに来たそうだ。
彼、特務課なのだろう?」

ニコニコと笑顔を崩さぬ鴎外。
相当憤りを感じているらしい。



『申し訳ありません。直ぐに対処して来ます。』

深く腰を折り、頭を下げると、紅葉が止めに入る。


「良いのじゃ。奏音がやることでも無い。
そうさねぇ…わっちの拷問部隊でも送るかぇ?」

そう云って上品な笑いを零す。




取り敢えず今日は帰って良いよ。
と云う鴎外の一言でもう一礼し、その場を後にした。




『成瀬、何故来たのかしら。謹慎処分中だと聞いたのに…』

一人長い回廊を歩き乍疑問を口にする。





「奏音!今日こそ銃の特訓しねぇか?」

とぼとぼと歩く後ろ姿に声を掛けたのは立原だ。



『立原…そうね、気分転換に良いかも。
じゃあ今日やろうか。樋口ちゃんも呼ばなきゃ。』

奏音はもやもやを晴らす為、立原と樋口と射撃場に赴いたのだった。




『立原は…好きに打ってて。

樋口ちゃんはこっちで練習しましょ。』


立原が自由に動く的を撃ち抜いていく間、隣で奏音と樋口はゆっくりと練習を始めた。


『この腕はもう少し上。足はもう少し開いて…』

的確な指示で樋口の体勢を整えてゆく。



『良いよ。後は自分のタイミングで引き金を引きな。』


「……はい。」

樋口は緊張しているらしく、ガチガチに固まっていた。


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