第5章 追憶と過去
「…奏音ちゃんか業くんの妹さんかい?」
ケイが少し声のトーンを落とし気味で問う。
『わ、私の妹、です。
こ、これって、殺された訳では無いんですよね、?』
奏音は縋るような眼差しを二人に向ける。
せめてもの願いだった。
無事に生きていて欲しい、と。
「うん。そうだよ。
あ、でも確かこの子……
…否、確証が無いから云うのは辞めておこう。」
そう云って有島はファイルを元の場所へ戻しに行った。
「あの、ケイさん。」
「ん〜どうしたの?」
「有島さんって、どんな人なんですか?」
業は拳を握り締めて聞く。
────その手は恐怖で震えていた。
「有島くんは、お偉いさんだよ。
心優しいお偉いさん。オオカミみたいなお偉いさん。」
ケイの説明では優しいのか優しくないのかが解らず困惑する二人。
「まぁ…直に解るよ。おいらも優しいオオカミさんだからね。」
そう云ってケイは不敵な笑みを浮かべた。
有島が三人の元へ戻って来ると、微妙な空気が流れていた。
「…何話したの。」
有島はケイを見詰めてそう問う。
「おいらたちが狼だって。」
「……あぁ、その話…
余り無闇矢鱈としないでね。」
「あ、あの!狼って、悪い奴らの敵、って事ですか?」
業は勇気を振り絞って聞く。
すると、有島とケイは目を丸くして……
「「それは秘密。」」
と口を揃えて云った。
その時の二人の笑顔はまやかしの様であった───。
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《お詫び》
この章の頁を少し削除させて頂きました。
削除する前にお読み頂いた方に、
この場をお借りしてお詫び申し上げます…
再びそのシーンが登場するかは不明ですが、
組み込めたら組み込んでいきたいと思います。
今後とも鏡薔薇をよろしくお願いします。