第1章 出会いと始まり
「大丈夫だ。私も、中也も、森さんも、みんな君を大事に思っているし、君の為なら何時でも喜んで生命を投げ出す様な人達だ。そこは安心し給え。」
太宰は優しく微笑みながらゆっくりと奏音の頭を撫でる。
奏音自身も少しは落ち着いたのか、先刻までの熱は感じられなかった。
代わりに頬には一筋の光が伝っていた。
『……ありがとう。』
震えた声でそう告げて、奏音は寝台に潜り込んだ。
「おやすみ、奏音ちゃん。」
『おやすみなさい。太宰さん。』
その十数分後には、二人の部屋からは静かな寝息が聞こえてきた────。