第2章 第二章 ②
真横でこちらに笑いかけてこられるとどう反応していいか分からない。
それに視線が絡むのが何となく恥ずかしくてむず痒い、。
御幸の隣が居心地が悪くなってきたつばきを知ってか知らずか後ろからトントンと方を叩かれ、振り向くと春乃が『つばきちゃん』と声をかけてきた。
はっとし、周りを見渡せば当たりが先程より暗くなっていることに気づいた。
どれだけここに居座っていたのだろうか、
『暗くなってきたし、そろそろ』
『!・・うん』
『結城くん私たちそろそろ上がるね』
『あぁ 長々と済まなかったな お疲れ』
『お疲れ様でしたっ』
『お疲れ様でした』
『お疲れ 気をつけてな』
主将たちにそれぞれに挨拶をし、最後に横にいた御幸を見て『それでは』と素っ気なく伝えると御幸はその物言いに一瞬眉を寄せた。だがそれもつかの間、距離を詰めつばきの耳元に顔を寄せたかと思うとふぅっと柔らかく息を吹きかけてた。
『ッッ!?』
あまりにも突然、無防備な状態の中でやられた出来事につばきは息を吹きかけられた片耳を抑えながら狼狽えた。
・・・この人、、!有り得ないッ
周りの様子も気にせず急に予想外なことをしてくるこの男は何を考えているんだ・・・!とつばきは怒気を抑えながら思った。
耳は熱く、鼓動が速まっている事に気づき悔しげに御幸を睨みつける。
そんなつばきをしたり顔で見下ろす御幸は睨まれているのにも関わらずニヤリと笑ってのけた。
紅潮した顔と潤んだ瞳で睨みつけられても全然怖くはないし逆に嗜虐心がくすぐられる。
睨みつけて怯む所か楽しげでニヤニヤしたままの御幸にイラっとし、マネージャー二人の手を取り行きましょう!と正面門まで行こうとするつばきを軽く呼び止めた。
不機嫌そうに振り向くつばきに今度はクスリと笑い、後ろからその場で囁くように御幸は言った。
『ま た な』
『・・・・・。では、』
眉間にシワを寄せ二人を引っ張るつばきの背中を見送り御幸は満足そうにははっと笑った。