第11章 くゆる紫煙と君の香り/広津柳浪
何故自分が、この少女─否、女性と度々逢瀬を重ねているのか、時折不思議に感じる。
仕事上、立場や配属先も違うためあまり関わり合うことはない。何をきっかけに知り合い、話し、会うようになったのか、はっきりとは思い出せない。
恋愛対象にするには、少々歳が離れすぎている。ましてや、このような仕事柄、そんなことに現を抜かしていれば、いつ自分の首が飛ぶか分からない。
雑技団の綱渡りのように不安定で、あまりにも無茶だ。
だが、煙草を吸えずにグロスに濡れた唇を尖らせる彼女に、ついつい見とれてしまった。
彼女越しに遠くぼやける、ヨコハマの灯りが丸く光り、まるで物語のヒロインのように見えた。
ちら、とこちらの視線に気づいてサッと目を逸らす。
「なんですか、空のライターを点けるのがそんなに面白かったんですか」
少し拗ねたように話す魅月がおかしくて、つい笑ってしまった。そのようすがおかしかったのか、今度は彼女の口角が上がる。
「あれ、広津さんもそんなふうに笑えるんだ、意外」
「失礼…でも私も、このような形だが中身は普通の人間だ。血も涙もある」
もちろん、多少の下心も─。
弾んだ会話が心地よいのか、少し笑みを浮かべたまま、広津は煙草を持つ指で、