第1章 嗚呼、君の美しい瞳よ/森鴎外
「あの、首領?」
どうかしましたか、と夜凪はきょとんとした顔で問うも、森鴎外はさっきと同じような微かな笑みを浮かべたままこちらを見つめている。
腹部がちょうど、卓の角に当たっている。しかもその位置にフロントボタンがあるため食い込んでさらに痛い。
手を振り払おうにも、脇のあたりに積み重なっている書類が押し付けられているため、痺れて動けない。
けほ…と小さく咳込んで、「痛いので、放してください」とお願いする。
「すまないね、君の困っている顔が見たくなったもので」
そう言うと、ぱっと手を放してくれた。
まったくもって意味がわからなかった。なんのために、というか何故こんな方法で私が困ると思ったのか。
時々、全く意図が分からない行動をすることはあったが、今回ばかりは本当に理解できなかった。
申し訳ないですが、ただ痛いだけですねと返すと、ポートマフィアの首領は頬を膨らませる。
しかしすぐに、顔の前で指を組む。
「私はもしかしたら、加虐的な嗜好があるのかもしれない…な」
不敵な笑みを浮かべてそう呟く。