【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第6章 鼓動アンビシャス.5
「なんにも食べてないんでしょ。暖かくて消化にいいものを食べましょうね。」
「うん……ありがとう。」
僕は夜叉丸さんの愛に少しだけ泣けてきて、鼻を啜りながらお粥を食べた。
「疲れてるのね。さぁ、お眠りなさい。」
「はい…」
僕はすぐに深い眠りに落ちた。
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起きると、夜叉丸さんが察知してやってきた。
僕の額に手を当て体温を確認して、ご飯を食べられるかどうか聞いてきたので、食べたい旨を伝えた。それと、洗濯物を処理してくれた時、サラシが古くてボロボロだと言って、新調しましょうと言ってくれた。僕は快諾した。
「夜叉丸さん、ありがとう。僕、次の仕事はいつだっけ。」
「リスケして3日オフにしたわ。」
「さすがの手腕……」
「だから安心して寛ぎなさい。ねっ。」
夜叉丸さんはそう言って僕を軽く抱きしめた。
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その頃、テレビではB-projectの移籍情報が流れ、事務所は混乱した。夜叉丸さんはB-projectメンバーを高級ホテルに集め、そこで全ての仕事ができるように手配した。B-projectメンバーは疑わず、そこでレッスンや撮影に励んだ。
僕は4日目からそのホテルに移動して、レッスンやドームライブに向けてのリハをすることになった。
「漣ちゃん!久しぶりっ。具合どう?」
「悠太。心配かけてごめん。もうすっかり良くなったよ。」
話しかけてきてくれたみんなと話していると、夜叉丸さんがやってきた。
「移籍の正式発表の日が決まったわ。飛行機から生中継よ。」
夜叉丸さんははしゃいでいるように見える。僕は移籍とかどうでもいい。夜叉丸さんとTHRIVEが居るなら何処でも活動するつもりだ。
「つばさは?」
倫毘沙が問いかけると、夜叉丸さんは顔を曇らせた。
「あの子は逃げたわ。」
みんなのあいだに動揺が走った。
「そんな。」
「つばさが…」
違和感を感じたのは僕だけでは無いはずだ。異様な空気に、少し離れた場所にいる剛士を見ると、納得いってない顔をして夜叉丸さんに鋭い眼光を向けていた。