第19章 scene4:宴会場
でもさ…
(僕だけかもしんないけど…)身体って、すっごーく正直でさ…
抵抗すれば抵抗する程、僕の興奮は高まって行くんだから、困っちゃう。
あ、当然だけどお薬のせいだからね?
だって僕、自分で息子くんのコントロール出来る程器用じゃないもん。
だから息子くんが元気になってるのは、僕がこの状況を喜んでるとかじゃないからね?
僕はスタッフさん何人かを蹴散らせ、壁際まで後ずさり、肩で息をしながら、浴衣の襟と裾を掻き合わせた。
「ぼ、僕、ぼ…く…、ふ、ふえ…」
別にさ、(多分)お仕事だって分かってるから、怖いとか…全然ではないけど思わないけどさ、不思議と涙が出ちゃって…
泣くのなんて、いっぱい「可愛い」って言われて、いっぱいいーっぱい「好きだよ」って言われた時くらいしかないのに、涙が止まらなくなっちゃって…
そしたら僕の前にティッシュの箱が差し出され、坂本監督が僕の前にしゃがんだ。
え、まさか僕、坂本監督に…って、そんなわけないよね?(笑)
坂本監督はニッコリ笑うと、ティッシュで僕の涙を拭いてから、大きな手で僕の頭をポンポンと叩いた。
ってゆーか、そんなにゴシゴシしたら、せっかくのメイクが剥がれちゃうのに…
「驚かせてごめんな?」
「え…?」
「いやさ、HIMEちゃんていっつもニコニコしてるから、ちょっと泣き顔見てみたくてね?」
へ…?
どゆ…こと…?
「じゃあ…、僕をビックリさせようとしてこんなことを…?」
「でもちょっとやり過ぎだった…よな?」
当たり前でしょ?
僕、本気で手篭めにされると思ったんだからね?
「ま、おかげで良い顔撮れたけどね?」
それは良かった♪
…って、いくら僕でもならないけど…?
「あ、因みに誤解して欲しくないんだが、薬とかは一切使ってないからな?」
「え…?」
嘘…でしょ?
じゃあ、この元気に「起立!」してる息子くんは、僕が…?
マジっすか(笑)