第19章 scene4:宴会場
えっとぉ…、これって逃げた方が良い…のかな?
でも身体がいう事聞いてくれないし…
でもこのままだと僕、皆に寄ってたかって手籠めにされちゃう…よね?
それはちょっと困るんだけど、でもこのままってわけにもいかないし…
あ、でもちょっと待って?
お酒のせいなのか、それとも変てこなお薬のせい(←確定ではない)なのか、視界もハッキリしてなくてあんまり良くは見えないんだけど…
僕の見間違いじゃなかったら、坂本監督が手に持ってるのって、カメラ…だよね?
って、ことは…?
そっかぁ、お部屋で…って聞いてたけど、変更になった…とか?
えぇ~、だったら先に言っといてくんないと、僕にだって心の準備が必要なのに…
ってゆーか、今回の撮影、ちょっとサプライズが過ぎない?
だって思い出してみて?
迎えの車に乗った途端、風間ポンから一人エッチしろって言われて、挙句ノーパンでお買い物に行かされて…
旅館に着いたら着いたで、露天風呂は…まあ普通に撮影したけど、その後の川原での撮影だって、元々は予定に無かったし…
んでもってこれでしょ?
もうさ、どんだけサプライズ好きなんだ、って感じだよね(笑)
って、笑ってる場合じゃない!
(多分)撮影だってことは分かった。
でも僕…、こんなのは嫌。
お薬で…ってのは勿論なんだけど、やっぱり僕は「可愛い」って言って貰いたいし、例えそれがお芝居だったとしても、「好きだ」って言って貰いたい。
そしたらさ、相手の人がもし僕の大っ嫌いな人だったとしても、好きな人に抱かれてるんだ、って思うことが出来るもん。
だからやっぱり、僕…
「だ、だめっ…、やだっ…」
僕は、僕の両手両足を押さえ付ける手を振り解こうと、めいっぱい手と足をバタつかせた。
そんなことしたらさ、余計に浴衣はだけちゃうのにね?
でもそんなの関係ない。
(多分)お仕事だとしても、こんなのは嫌っ!