第2章 scene1:教室
教室の隅っこで、お互いスマホ片手に連絡先の交換をする。
撮影の終わった教室では、監督さんをはじめとするスタッフさん達(…って言っても片手で足りる人数だけど…)が、忙しく後片付けをしている。
当然だけど、長瀬さんもその立派な体格を買われてか、力仕事の殆どを任されていて…
「あの…、僕シャワー浴びに行きたいんですけど、一人じゃ怖くて…」
「俺で良かったら付き合うよ?」
「ホントですか? じゃあ…、お願いしても良いですか?」
「勿論!」
良かった…
これで迷子にならずに済む♪
“怖い”って言ったのは、相葉さんに着いて来て貰うための口実で、本当は全然怖くないんだけどね?
ただ、慣れない場所で迷子になるのだけは、ちょっと…ね(笑)
あ、でもこれ絶対秘密だからね!
僕はマットレスを運ぶ長瀬さんに耳打ちして、シャワーに向かうことを告げると、相葉さんに手を引かれて階下へと向かった。
手にはお気に入りのフワモコバスタオルと、新しい下着を抱えて…
でもね、シャワー室を目の前にして僕気付いたんだ…、相葉さんの腰がやけに引けてることに。
「あの…、もしかして怖いの苦手…なんですか?」
まさかそんなことは…と思いながら聞いてみると、相葉さんは突然頭をポリポリ掻き始めて…
「実はさ、あんまり得意じゃないんだ…。ほら、特にここって廃校だし、ちょっとね…」
嘘…でしょ?
こんなに爽やかで格好良くて…、なのに学校が怖いとか、案外可愛いとこあるんだ?(笑)
「ふふ、じゃ〜あ、一緒に入ります?」
「えっ、いい…の…?」
「もちろん♪」
二人で入るにはちょっと狭いかもだけど、相葉さん細いし…
それに、どうせシャワーって言ったって、下半身を洗うだけなら、多少狭くても大丈夫…だと思ったんだけどな…