第2章 プロローグ
「っ玄弥!!!!!」
伸ばした腕は暗闇の虚をさらっていった。
時計は真夜中午前2:51を指している。"また"同じ夢を見た。実弥自身、玄弥。と言う名前にも聞き覚えはない。目が覚めると夢の内容も忘れているのだが、胸に確かな悲しみと、鈍痛があった。
「またあの夢…?」
隣で自分の腕枕で眠っていたはずの恋人が起きている。あんなに盛大な大声を上げたんだから、それは起きてもしようがないとしか言いようがない。
「ん、あァ。起こしちまったな。すまねェ。」
「んーん、だいじょーぶ。」
まだ寝ぼけているのか、ふわふわと答える恋人の髪をさらりと撫で。ちうとキスを落とす。
愛していると、沢山伝えるために。